2019.08.29

【ガルバリウム鋼板の特徴】メンテナンス不要、絶対錆びないはホント?ウソ?

こんにちは
町の引越屋さんです。
 
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム・亜鉛・シリコンなどから作られた金属製の素材のこと。
 
錆に強い、軽量、耐久性が高いなどの理由から外壁や屋根に使われることの多い素材です。
 
ただ、「メンテナンスフリー」「全く錆びない」など誇張表現された誤った情報もたくさん出回っています。
 
そういった情報に惑わされないためにも今回は
 
ガルバリウム鋼板の特性や住宅リフォームで使用する際のメリット・デメリットをまとめました。
 

ガルバリウム鋼板とは?ガルバリウムの特性

リフォーム
 
ガルバリウム鋼板は、
 
アルミニウム(55%)、亜鉛(43,4%)、シリコン(1,6%)から作られたアルミ亜鉛の合成メッキ合板です。
 
アルミニウムの特徴の
 
・耐食性が高い
・加工性が高い
・熱反射性が高い
 
と、亜鉛の特徴である
 
・防食作用が高い
 
を兼ね備えているので、耐久性が非常に高い素材です。
 
もちろん、何もデメリットがないわけではありませんが
 
住宅に使われる金属素材(ステンレス、アルミ、トタンなど)と比べると
 
耐用年数や性能性の総合力で最も優れています。
 

ガルバリウム鋼板のメリット・デメリット

リフォーム
 
では、ガルバリウム鋼板にはどんなメリットやデメリットがあるのかをご紹介します。
 

ガルバリウム鋼板のメリット

 

錆に強い

 
金属素材の大きなデメリットとして、時間ともに錆びてしまい
 
見た目の美しさが損なわれてしまうことが挙げられます。
 
その点ガルバリウム鋼板は非常に錆に強く、時間が経っても景観を損ないません。
 
(もちろん、錆びにくいというだけで全く錆びないわけではありません)
 

耐久性が高い

 
ガルバリウム鋼板はアルミニウムの耐久性と、亜鉛の防食作用を併せ持っているので
 
他の金属素材と比べ、耐久性が3倍〜6倍長いと言われています。
 
例えば、トタンだと5年〜8年程度で錆びてしまう環境だったとしても
 
ガルバリウム鋼板は10年〜20年程度耐久できるということです。
 
業者の中にはガルバリウム鋼板の耐久性を誇張して「メンテナンスフリー」と表現している場合もありますが、
 
あくまで他の金属素材と比べて丈夫というだけで、どれだけ長持ちしても20年〜30年程度でリフォームは必要になります。
 

耐震性が高い

 
ガルバリウム鋼板は厚さが1mm〜3mmと非常に薄く軽いため、
 
建物にかかる負担を圧倒的に軽減することができ、自ずと耐震性が高まります。
 
カバー工法(既存の外壁の上に重ねて塗ること)をすると、
 
今の重量+ガルバリウム鋼板の重量になってしまうため、今より耐震性をアップさせることはできませんが
 
他の素材を重ね塗りするよりも耐震性への影響は抑えることができます。
 

デザインが豊富

 
薄く着色性が高いのもガルバリウム鋼板の特徴で、
 
金属の質感を活かしたモダンでスタイリッシュなものから、木目調、レンガ調など、
 
ナチュラルな風合いにすることも可能です。
 
カラーバリエーションも豊富で他の外壁素材では難易度の高い黒系のカラーにも対応しています。
 
ただ、あくまでもガルバリウム鋼板は金属素材なので、
 
どんな模様やカラーを選んでもスタイリッシュでシャープな印象になります。
 
(ウッド調の模様を選んでも実際のウッドハウスのような印象にはなりずらいということです)
 

ガルバリウム鋼板のデメリット

 

全く錆びないわけではない

 
確かにガルバリウム鋼板は金属の中では錆に強い素材ですが、全く錆びないわけではありません。
 

潮風に弱い

 
ガルバリウム鋼板は金属なので基本的に潮風には強くありません。
 
ガルバリウム鋼板は、潮風に含まれる塩分が原因で白錆が起こる可能性が高いので
 
沿岸地域の方にはオススメできない素材です。
 
どうしても金属素材のデザインを取り入れたい場合は、金属の中で最も潮風に強いステンレスを使用するようにしましょう。
 

施工が難しい

 
ガルバリウム鋼板の施工は一般的な塗装屋ではなく、板金工事のできる業者に依頼することになります。
 
ガルバリウム鋼板は傷には弱いというデメリットがあり、ちょっとした傷から腐食して錆が発生してしまいます。
 
また、施工が難しい上、板金業者そのものの数が少ないため、請け負ってくれる業者を探すのも少々大変です。
 

施工費用(初期費用)が高め

 
ガルバリウム鋼板の施工には
 
他の金属とは接触させない(金属接触をすると錆びやすい)、湿気を通さないようにする、
 
傷をつけないようにする、など他の外壁素材と比べて気をつける点が多いので、
 
施工費は高めに設定されています。
 
また、多くの塗装業者で板金工事も請け負ってくれるのですが、
 
実際はその塗装業者から板金業者へと外注する形になっているため、
 
中間マージンが上乗せされた料金設定になっているケースが非常に多いのが現状です。
 
施工費用を抑えたい場合は、塗装業者ではなく板金工事業者を探して依頼するようにしてください。
 

耐熱性・遮音性が低い

 
ガルバリウム鋼板はとても薄いので断熱性能はあrません。
 
また、熱伝導率も高いので夏は高温になり、冬はとても冷えます。
 
そのためガルバリウム鋼板を外壁や屋根に使用する場合は、断熱材や遮熱塗料が欠かせません。
 
既存の外壁の上にガルバリウム鋼板を重ねる場合(カバー工法)は、
 
現状の断熱性能によって断熱材を使うかどうか判断するため、
 
施工費用の予測はしずらいかもしれません。
 
また、音や振動も伝わりやすいので吸収材で対策が必要です。
 

結露が起こりやすい

 
通常の外壁素材はある程度湿気が外に放出されるように施工するのですが、
 
ガルバリウム鋼板は隙間なくびっしりと敷き詰めるので、湿気が室内にこもりやすくなります。
 
また、ガルバリウム鋼板は熱を伝えやすいので湿度が高くなってくると結露が発生します。
 
結露は住宅を腐食し劣化を早める原因になるので、意識して風通しを良くしておく必要があります。
 

強風には注意が必要

 
ガルバリウム鋼板は非常に薄く軽いので耐震性はアップしますが、その反面
 
住宅本体との接合がしっかりされていないと
 
強風でガルバリウム鋼板が剥がれてしまい、下地が丸見えになってしまう可能性もあります。
 
また、強風で飛来物がぶつかって傷ができてしまうと、そこが錆の原因になるので注意してください。
 

ガルバリウム鋼板の劣化とメンテナンス方法

リフォーム
 
ガルバリウム鋼板は確かに金属素材の中では錆びにくい性質ですが、
 
よく見かける「全く錆びない」というわけではありません。
 
次に、ガルバリウム鋼板の劣化状態(錆)とメンテナンス方法をご紹介します。
 

ガルバリウム鋼板の劣化状態

 

赤錆び

 
赤錆はガルバリウム鋼板が傷ついた箇所から発生する錆です。
 
例えば、車に当たった石が飛んできた、強風で物が飛んできた、近くに置いていた物が倒れてきた、
 
などの理由でガルバリウム鋼板の表面に傷がついてしまうと、そこから少しずつ錆びてしまいます。
 
また、施行中に小さな傷がついてしまい錆びが発生するケースもあります。
 
ガルバリウム鋼板は外壁に使用する素材でも「物に強くぶつかってはいけない」という
 
デリケートな一面を持っています。
 

白錆び

 
白錆びは潮風が吹く沿岸部や高温多湿な環境で発生しやすい錆びです。
 
潮風に含まれる塩分がガルバリウム鋼板の表面メッキに含まれている亜鉛を酸化させてしまい、
 
金属の表面に白い斑点がたくさん現れます。
 
また、軒下や庇の下などの日当たりが悪く、ジメッとする箇所も白錆が発生しやすくなります。
 
軒の出のないシャープな外観にすると白錆対策になりますが、その反面雨漏りのリスクが高まるため、
 
ガルバリウム鋼板の施工には豊富な知識と高い技術が必要になります。
 

他の金属と接触して起こる電食

 
異なる金属同士が接触したとき、その部分が腐食して劣化することがあります。(異種金属接触腐食)
 
ガルバリウム鋼板は電食を起こしやすい金属なので、施工時は特に注意が必要なのですが、
 
あまり知識のない不慣れな業者に依頼したときに多発しています。
 
また、金属以外でも木材に含まれる木酢液と接触すると腐食を起こすので、注意が必要です。
 
ガルバリウム鋼板を使用した部分には、金属製品や木製製品が触れないよう気をつけなければいけません。
 

ガルバリウム鋼板のメンテナンス

 
ガルバリウム鋼板は「水で洗い流し」が基本です。
 
目安としては、
 
1年に数回の水かけ
5〜10年に1度、業者に劣化の点検依頼
10〜20年に1度、リフォーム
 
が理想的な周期です。
 
日常のメンテナンスは1年に数回晴れた日に、全体的に水をかけるだけでOKですが、
 
ガルバリウム鋼板に高圧洗浄機を使用すると、表面を傷める原因になるのでホースなどで行ってください。
 
また、海が近い地域は塩の影響により劣化が早まるので2ヶ月に1度は水かけをしておくのがおすすめ。
 
特に重点的に水かけしておきたい場所は、
 
普段雨がかからず汚れが付着しっぱなしになりがちな軒下やバルコニーの下です。
 
水で洗い流すメンテナンスは白錆対策にはなりますが、赤錆には効果がないので
 
赤錆対策としては5年〜10年に1度、業者に依頼してメッキ層を保護する塗膜補修が必要です。
 

まとめ

 
ガルバリウム鋼板は施工時も施工後も傷に気をつけたり、金属や木製製品との接触を避けたりなど
 
少々扱いの難しい面もありますが、そういったデメリットを考慮しても
 
・高いデザイン性
・耐久年数の長さ
・耐震性
 
など、メリットも大きいので、大変人気のある金属素材です。
 
ガルバリウム鋼板はしっかりとした知識と技術がある業者を選ぶことが重要になるので、
 
「メンテナンスフリー」「一切錆びない」など誇張表現をしている業者は避け、
 
メリット・デメリット・メンテナンス方法などをきちんと話してくれる業者を探しましょう。
 



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